洗剤で肌が荒れるもう一つの理由

美素肌情報

「石鹸・洗顔料・ボディソープなどの洗剤は肌荒れを引き起こす原因になる。」

これは私たちがずっと言ってきたことであり、それに対する取り組みを行ってきました。

洗剤による肌荒れの原因として「皮膚のバリア機能の低下」があるのですが、実は他にも原因があります。

それは、「痒みを増幅させる」というものです。

なぜ洗剤で肌が荒れるのか

石鹸、洗顔料、ボディーソープなどの洗剤の主成分は「界面活性剤」です。

界面活性剤には”あぶら”を落とす作用があり、汚れの成分も”あぶら”であることが多いため、界面活性剤は効果的に汚れを落とします。

しかし、人の肌も”あぶら”で覆われており、それが外部からの刺激をブロックしたり、体内からの水分の蒸発を防いでいます。

洗剤を使うと汚れだけでなく、肌に必要な”あぶら”まで落としてしまうため、皮膚のバリア機能を低下させてしまうのです。

バリア機能が低下すると、肌が乾燥したり刺激に弱くなりしてしまいます。

刺激に弱くなると痒みを感じやすくなり、肌を掻いてしまってさらに肌が荒れます。

ここまでが私たちがよくお話している内容なのですが、これには続きがあります。

痒み成分と痒み神経

肌を掻きむしると、皮膚の細胞からヒスタミンなどの痒み成分が放出されます。1)

そのため、肌を掻くことで痒みをより強く感じるようになってしまうのです。

また、皮膚の中には痒みを感じる神経があります。

正常な肌はこの神経が表皮の下の方にあるのですが、乾燥や搔きむしりなどで神経が表面近くにまで伸びてくることがあります。

神経が伸びると外からの刺激に敏感になり、より痒みを感じやすくなります。

これらの影響で痒みを感じやすい敏感肌になり、掻きむしることで肌荒れの長期化・重症化に繋がりやすくなるのです。

健康な皮膚
荒れた皮膚

補足

痒み成分

痒み成分としてヒスタミンが代表的です。他にも、セロトニン、タンパク質分解酵素、脂質、サイトカインなどがあります。1)

これらの物質は肥満細胞、免疫細胞、表皮ケラチノサイトなどで産生されています。

ヒスタミンは接触アレルギー、食物アレルギー、虫刺され、温度変化、ストレスなどの様々な刺激で分泌され、痒みを引き起こします。

しかし、ヒスタミンは体に必要な成分であり、多岐にわたって重要な働きをしています。3)

痒み神経

人の皮膚には神経伸長因子(NGFなど)と神経反発因子(セマフォリン3Aなど)が存在しています。1)

健康な皮膚では神経反発因子が優位となっているため、C-線維の末端は基底膜にとどまっており、表皮内ではほとんど観察されません。

しかし、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の場合は、神経伸長因子が優位となり、表皮内にC-線維が侵入していることがあります。

参考文献 (参照日2023-2-11)

1)「なぜ、かゆい?」
https://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/kankyo_igaku/kayumi/itch.html

2)「界面活性剤によって誘発される痒みとケラチノサイトによるhistamine 産生に関する薬理学的研究」
https://core.ac.uk/reader/70323010

3)「ヒスタミン再発見」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/33/6/33_6_359/_pdf

4)「かゆみを生じる皮膚疾患と治療薬」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/56/9/56_811/_pdf/-char/ja

5)「皮膚のかゆみのメカニズム」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/69/4/69_256/_pdf

筆者

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